「全負荷と単機能、結局どっちを選べばいいの?」と迷っている方は多いと思います。
ただ、この2つは比べるものではなく掛け合わせる別々の軸なんです。
停電時に使える範囲を決めるのが全負荷、パワコンの構成を決めるのが単機能。
この記事では2軸の整理から容量の決め方、費用の目安までまとめました。
カタログを見ても「全負荷型・単機能」って並記されてて、どっちを選ぶ話なのか分からなくなりました…
そこ、いちばん混乱しやすいところです。
まず2つの軸をほどくところから始めましょう。
結論|全負荷と単機能は対立する選択肢ではありません
全負荷か単機能かで悩む必要はありません。
「全負荷/特定負荷」は停電時のバックアップ範囲、「単機能/ハイブリッド」はパワコンの構成で、まったく別の軸です。
太陽光を設置して5年前後で200V家電も止めたくないなら、全負荷×単機能が第一候補になります。

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ここを分けて考えられると、カタログの読み方が一気に楽になります。
この2軸を掛け合わせると、家庭用蓄電池は次の4タイプに分けて考えられますよ。
| タイプ | 停電時に使える範囲 | 停電時の操作 |
|---|---|---|
| 全負荷×ハイブリッド | 家全体(200V含む) | 不要(自動) |
| 全負荷×単機能 | 家全体(200V含む) | 太陽光からの充電は手動切替 |
| 特定負荷×ハイブリッド | 指定した回路のみ | 不要(自動) |
| 特定負荷×単機能 | 指定した回路のみ | 太陽光からの充電は手動切替 |
つまり選ぶ順番は、まず停電時にどこまで電気を使いたいかを決めることから始まります。
そのうえで、自宅の太陽光パワコンをどうするかで単機能かハイブリッドかが決まる流れですね。
順番が逆だと迷子になるわけですね。
全負荷と特定負荷の違いは「停電時にどこまで使えるか」
まず1つ目の軸から整理します。
全負荷型と特定負荷型を分けているのは、分電盤のどこに蓄電池をつなぐかです。
家の電化製品は分電盤から子ブレーカーを通って電気を受け取っています。
停電時にその分電盤ごと丸ごと支えるのが全負荷型、指定した子ブレーカーだけを支えるのが特定負荷型という違いですね。
全負荷型は分電盤ごとバックアップして200V家電も動く
全負荷型は、自宅の契約アンペアが機種の上限以内であれば分電盤内の負荷設備をすべてバックアップできます。
エアコンやIHクッキングヒーター、エコキュートといった200V機器も停電中に使えるのが最大の価値です。
真夏や真冬の停電でエアコンが止まらないのは、小さな子どもや高齢のご家族がいる家庭では大きな差になります。
ここは値段だけで判断しないほうがいいところ。
全負荷=無限、ではないんですよね。
容量と出力はセットで見てください。
特定負荷型は子ブレーカー2回路程度に絞られる
特定負荷型は、機種にもよりますが分電盤内の小ブレーカーを2つ程度選んで、その先の機器だけを停電時に使えるようにする方式です。
冷蔵庫と照明、リビングのコンセントといった生命線だけを選ぶ使い方になります。
供給が100Vのみの機種が多く、200Vのエアコンやエコキュートは停電中に動かせないケースがほとんどです。
そのぶん消費電力が抑えられるので、同じ容量なら電気を長く持たせられるという逆のメリットもあります。
- オール電化で200V機器の使用が多い
- 小さな子ども・高齢の家族・ペットがいる
- 停電中も普段どおりの生活を維持したい
- すでに太陽光発電を設置している
- 特定負荷型より価格が高くなる傾向がある
- 本体サイズが大きく設置スペースが要る
- 家中で使うぶん電力消費が早い
うちは4人家族でオール電化なので、全負荷型で考えたほうがよさそうです。
単機能とハイブリッドの違いは「パワコンが何台になるか」
2つ目の軸に移ります。
こちらは停電時の話ではなく、太陽光発電のパワーコンディショナをどう扱うかの話です。
メーカーのオムロンも、この違いをシンプルに説明しています。
ハイブリッド型と単機能型の違いは、太陽光発電との連携ができるかどうかです。
オムロン ソーシアルソリューションズ「家庭用蓄電池の比較」
単機能型は既設の太陽光パワコンを残せる
単機能型は、蓄電池専用のパワコンを追加する方式です。
いま動いている太陽光用のパワコンはそのまま残せるので、既存設備を撤去せずに後付けできるのが強みになります。
太陽光のメーカーに縛られず蓄電池を選べますし、既存の太陽光の保証もそのまま維持できます。
太陽光がない家庭でも導入できるのも単機能型の特徴です。
ここが効きます。
つまり「今の設備を活かすなら単機能」という理解でいいんですね。
ハイブリッド型は変換ロスが小さいぶん交換工事が必要
ハイブリッド型は太陽光と蓄電池のパワコンを1台に統合する方式です。
既設の太陽光パワコンは取り外すことになるため、まだ寿命が残っている時期に選ぶともったいない、という判断になりがちなんですよね。
電力の変換回数が少なくなるので、単機能型より効率がよいとされています。
エコ発蓄電池は変換ロスについて、単機能型が約18%に対しハイブリッド型が約6%という数値を公表しています。
ロスは大きいのに単機能型を選ぶ人が多いのはなぜですか?
まだ使えるパワコンを外す損のほうが大きいからです。
設置年数で答えが変わります。
全負荷×単機能を選んだ家庭のメリットと弱点
2軸を掛け合わせた「全負荷×単機能」は、すでに太陽光がある家庭の後付けで選ばれやすい組み合わせです。
既設の太陽光パワコンを残したまま、停電時は家全体を支えられる。
この2つを同時に取りにいける点が、いちばん分かりやすい価値だと思います。
- 停電時に200V機器を含めて家全体が使える
- 設置済みのパワーコンディショナを外さなくていい
- 太陽光の回路数やメーカーに左右されにくい
- ハイブリッド型より価格を抑えやすい
弱点のほうも正直に書いておきましょう。
単機能型は、停電中に太陽光の電気を蓄電池へ充電するときパワコンを手動で自立運転モードに切り替える必要があります。
ハイブリッド型なら何もせずに切り替わる部分が、単機能型では一手間になるわけですね。
最近は自動で切り替わる機種も増えているため、この点は候補機種ごとに確認してみてください。
手動切替って、そんなに難しい操作なんですか?
操作自体は数手順です。
知らずに当日を迎えるのがいちばん困る、というだけですね。
全負荷×単機能で選べる主要4機種のスペック比較
全負荷に対応した単機能型は、機種の数がそこまで多くありません。
家庭用蓄電池.comが公開している比較では、次の4メーカーが挙げられています。
| メーカー | 停電出力/蓄電容量† | 保証† |
|---|---|---|
| ニチコン | 5,900W/11.1kWh〜 | 15年 |
| スマートスター(伊藤忠商事) | 3,000W/9.8kWh〜 | 10年 |
| スマートソーラー | 4,000W/11.5kWh | 15年 |
| テスラ | 5,500W/13.5kWh | 10年 |
† 公式情報での確認が取れず、調査による参考値
数字を並べると、停電時に同時にどれだけ動かせるかは停電出力で差が付くのが分かります。
エアコンと冷蔵庫とIHを重ねて使いたいなら、出力の大きい機種が有利ですね。
寿命はいずれも6,000サイクル前後とされていて、ここでの差はほとんどありません。
出力が3,000Wと5,900Wでは、動かせる家電の数がかなり違いそうです。
販売現場で選ばれている顔ぶれと、カタログのスペック上位が完全には一致しないのが面白いところ。
ここは「売れているから正解」ではなく、自宅の条件に合うかで判断してください。
候補は絞れました。
次は容量ですね。
機種ごとの細かいスペックは、こちらの記事でも比較しています。
家族人数と使いたい家電から必要な容量を逆算する
全負荷を選んでも、容量が足りなければ停電の翌朝には電気が尽きます。
容量選びの出発点は、毎月の電気使用量です。
4人家族の1か月あたりの電気使用量は、およそ400kWhが目安とされています。
検針票やマイページで自宅の実績を見れば、平均より多いか少ないかはすぐ分かりますよ。
エコ発電本舗は、長州産業スマートPVマルチの13kWhで約30時間、ニチコンの19.9kWhで約46時間という使用目安を示しています。
停電を「丸一日で復旧」と見るなら13kWh前後、「二晩は自力で」と考えるなら大容量帯という読み替えができます。
自宅の使用量が平均より多いなら、目安時間は短めに見ておいてください。
停電時に動かしたい家電を書き出す
冷蔵庫・照明・通信機器に加え、エアコンやIHを入れるかどうかで必要な出力が変わります。
何時間もたせたいかを決める
一晩なのか、二晩なのか。
ここで必要な蓄電容量の下限が決まります。
太陽光の発電量と足し合わせる
日中に発電して充電できる家庭なら、同じ容量でも実質的にもつ時間は延びます。
設置スペースと予算で最終調整する
容量が大きいほど本体も大きくなるため、置き場所の実測は早い段階でやっておくと安心です。
エアコンを入れるかどうかで、必要な容量が一気に変わるんですね。
そこが全負荷型の分かれ目です。
使う前提なら容量はケチらないほうがいいですよ。
太陽光の設置年数で単機能かハイブリッドかはほぼ決まる
ここが実務でいちばん効く判断軸です。
単機能かハイブリッドかは好みではなく、太陽光パワコンの残り寿命で機械的に決まっていきます。
パワーコンディショナの寿命は10年から15年程度とされています。
設置5年の家でパワコンを外してハイブリッドにすると、まだ使える機器を捨てることになるわけです。
- 太陽光の設置から3〜5年 → 単機能型が第一候補
- 設置から8年以上 → ハイブリッド型が有力
- パワコンの保証がまだ残っている → 単機能型で保証を活かす
- 太陽光がない・これから導入 → 単機能型でも設置できる
オムロンは「最初は単機能蓄電システムを導入し、PVパワコンが故障したときに機器を追加してハイブリッド蓄電システムに進化させる」という導入方法も示しています。
いま単機能で始めても将来の道が閉ざされるわけではない、ということですね。
迷ったら「パワコンの保証書を見る」が最短ルートです。
全負荷型そのものの選び方を深掘りしたい方は、こちらもあわせてどうぞ。
方式を決めてから機種を見に行く、という順番で読めばいいんですね。
全負荷×単機能で後悔しやすい3つの落とし穴
ここからは、契約前に潰しておきたい失敗パターンです。
①契約アンペアが機種の上限を超えている
全負荷型には、バックアップできるアンペア数の上限があります。
たとえば75Aで契約している家に60Aまでの全負荷型を設置すると、実質的に特定負荷の使い方になってしまうんですよね。
60A以内なら多くの機種が対応できるとされていますが、上限は機種ごとに違います。
分電盤の大元ブレーカーの数字を、見積もり前に必ず確認しておいてください。
- 分電盤の大元ブレーカーのアンペア数
- 候補機種が対応する上限アンペア
- 停電時に自動で自立運転へ切り替わるか
- パワコン2台を置くスペースが屋外にあるか
ここは見積もり前に自分で確認できる数少ないポイントです。
②パワコン2台ぶんの設置スペースを見落とす
単機能型は、太陽光用と蓄電池用でパワコンが2台になります。
パワコンは分電盤の近くに設置するのが基本なので、置き場所の制約は思ったより強めです。
蓄電池本体も全負荷対応の機種は大きめで、屋外設置になるケースが多くなります。
図面だけで判断せず、現地調査で実際のスペースを見てもらいましょう。
屋外に2台ぶんのスペース、意外と盲点でした。
③将来のパワコン交換費用を見込んでいない
単機能型を選ぶと、太陽光用のパワコンはいずれ寿命を迎えます。
その交換費用は、後から必ず発生する前提で資金計画に入れておくのが現実的です。
初期費用の安さだけで比べると、この部分を見落としがち。
初期費用が安く見えても、10年後の出費まで含めて比べないとダメですね。
そのとおりです。
見積もりを取るときに交換時期の目安も聞いておくと安心ですよ。
費用の目安と補助金の考え方
気になる金額の話に移ります。
エコ発電本舗によると、家庭用蓄電池の価格相場は5kWhで約125万円、21kWhでは約300万円とされています。
太陽光発電とセットで導入する場合は、工事費込みの総額で200万円から300万円が目安とのことです。
全負荷型の代表機種であるテスラのパワーウォールは、本体価格が110万円(税抜)と公開されています。
工事費や架台・基礎を含めると約180万円から200万円ほどになるという試算も示されています。
補助金については、国の制度と自治体の制度を両方チェックするのが基本です。
金額や条件は年度と地域で変わるため、この記事では具体的な金額は書きません。
制度の最新情報は資源エネルギー庁や、補助事業の執行団体である環境共創イニシアチブ(SII)の公式サイトで確認してください。
お住まいの自治体の窓口に直接聞くのがいちばん確実です。
補助金の話を持ち出す営業ほど、金額の根拠を確認してくださいね。
同じ機種でこんなに幅があるなら、1社だけで決めるのは怖いです。
蓄電池の見積もりを比較できるおすすめサービス3社
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よくある質問
まとめ
- 全負荷/特定負荷は停電時の範囲、単機能/ハイブリッドはパワコン構成の話
- 停電時にどこまで使いたいかを先に決め、次に太陽光の設置年数で方式を決める
- 全負荷×単機能は太陽光設置から浅い家庭の後付けに向く
- 契約アンペアの上限とパワコン2台ぶんの設置スペースは事前確認が必須
- 価格は販売形態で大きく変わるため複数社の見積もりで相場を掴む
結局のところ、方式で迷う時間より、条件を揃えて見積もりを比べる時間のほうが金額に効いてきます。
分電盤のアンペア数だけ確認して、今日のうちに動き出しておくと早いですよ。




