蓄電池を入れたのに、電気代が思ったほど下がらない。
その原因は、夜間充電の時間と量の設定にあるかもしれません。
この記事では、何時から充電を始めて何%まで入れるかを、実際の設定項目名で説明します。
メーカーごとの上限差や、うまくいかないときの戻し方まで扱います。
夜が安いプランに変えたのに、請求額があまり変わらないんですよね…。
その場合、充電の開始時刻か充電量のどちらかがズレていることが多いです。
順番に見ていきましょう。
結論|夜間充電は「夜間時間帯の頭から、翌日使う分だけ」
充電の開始時刻は、契約プランの夜間時間帯が始まった直後に合わせるのが基本です。
夜間帯を23時〜翌7時とするプランが多く、9.8kWhの蓄電池なら23時スタートで朝までに満充電が間に合います。
充電量は太陽光がない家なら上限まで、ある家は30〜50%に抑えると余りが出にくくなります。
設定でいじる項目は、じつはそれほど多くありません。
やることは「開始時刻」「終了時刻」「充電量の上限」の3つだけです。
この3つを、契約している料金プランの夜間時間帯にきちんと収める。
それが夜間充電の設定のゴールになります。
逆にいうと、夜間帯からはみ出して充電している時間は、高い昼間の単価で電気を買っていることになります。
ここが一番もったいないところです。
思ったよりシンプルですね。
夜間充電が得になる理由は、単純な単価差
夜の電気が安いのは、夜に電気が余るから
夜は家庭も工場も動きが止まるので、電力需要がぐっと落ちます。
それでも発電所は出力を大きく下げられず、夜間は電気が余り気味になります。
そこで電力会社は夜の単価を下げて、需要を夜側へ寄せようとしているわけです。
夜間の単価は昼間より3〜6割ほど安く設定されています。
蓄電池は、この差を毎晩取りに行く機械だと考えると分かりやすいです。
安い時間の電気を買いだめして、高い時間に取り崩す。
やっていることは食材のまとめ買いに近いです。
主要プランの夜間時間帯と単価
肝心の夜間時間帯は、プランごとにバラバラです。
「23時〜翌7時」がもっとも多いパターンですが、21時から始まるものや、1時からの5時間だけというプランもあります。
| プラン | 夜間の時間帯 | 夜間の単価 |
|---|---|---|
| 東京電力「夜トク8」 | 23時〜翌7時 | 31.64円/kWh |
| 東京電力「夜トク12」 | 21時〜翌9時 | 33.33円/kWh |
| 中部電力ミライズ「スマートライフプラン」 | 22時〜翌8時 | 16.52円/kWh |
| 九州電力「深夜電力B」 | 23時〜翌7時 | 13.21円/kWh |
| 四国電力「時間帯別eプラン」 | 23時〜翌7時 | 25.79円/kWh |
| HTBエナジー「ぜんぶでんき」(東京) | 1時〜6時 | 17.78円/kWh |
※各社が公表している単価をもとにした目安で、燃料費調整額や再エネ賦課金は含みません。
最新の単価と時間帯は契約中の電力会社でご確認ください。
ここで見てほしいのは、単価そのものより時間帯の長さのほうです。
夜トク8のように8時間あるプランなら、満充電に6時間かかっても余裕があります。
一方、1時〜6時の5時間しかないプランで大容量を満タンにしようとすると、まず終わりません。
プランと蓄電池の容量は、セットで考える必要があるということですね。
- 昼間の高い電気を買う量を減らせる
- 太陽光発電がない家でも効果が出る
- 朝の時点で電気が貯まっているので停電への備えにもなる
- 夜が安いプランは、その分だけ昼間の単価が高い
- 毎晩充電するぶん充放電の回数が増え、劣化はやや早く進む
- 昼に在宅する日が多い家では、節約効果が目減りしやすい
昼に家にいる日が多いと、損することもあるんですか?
あり得ます。
夜間プランは昼の単価が高めなので、まずは昼にどれだけ使っているかを確認してください。
何時から充電する?開始時刻は容量から逆算する
開始時刻を決めるには、まず「満タンまで何時間かかるか」を知る必要があります。
これは計算式で出ます。
充電時間は「蓄電容量 ÷ 入力電力」で出せる
蓄電容量(kWh)÷ 入力電力(kW)= 充電時間(時間)
例:9.8kWh ÷ 1.5kW(標準タイプ)= 約6.5時間
例:9.8kWh ÷ 4.0kW(急速タイプ)= 約2.5時間
家庭用の標準的な蓄電池は、1時間あたり1.5〜2.0kWhほど充電できます。
急速型と呼ばれる機種だと、1時間で4.0kWhほど入るものもあります。
同じ9.8kWhでも、標準型は6時間半、急速型は2時間半。
ここまで差が出ます。
| 蓄電容量 | 標準充電(1.5kW) | 急速充電(4.0kW) |
|---|---|---|
| 4.2kWh | 約2.8時間 | 約1.1時間 |
| 6.5kWh | 約4.3時間 | 約1.6時間 |
| 9.8kWh | 約6.5時間 | 約2.5時間 |
| 12.0kWh | 約8.0時間 | 約3.0時間 |
| 16.0kWh | 約10.7時間 | 約4.0時間 |
※目安です。
実際の充電時間は機種の仕様や充電状態、気温によって変わります。
うちは12kWhなので、標準型だと8時間…夜トク8だとギリギリですね。
開始時刻は夜間帯の頭、終了時刻は明ける30分前
逆算の手順はこうです。
夜間帯が23時〜翌7時、容量9.8kWh、標準充電で約6.5時間。
23時ちょうどに開始すれば、5時半ごろには満充電に届く計算になります。
朝7時までに1時間半の余裕が残るので、気温が低くて充電が伸びた日でも間に合います。
終了時刻は夜間帯が明ける30分前に置いておくと安心です。
ここを7時ちょうどにしておくと、機器の時計が数分ずれただけで昼間単価の充電が発生します。
充電開始:23:00(夜間帯の開始と同時)
充電終了:6:30(夜間帯が明ける30分前)
充電量の上限:太陽光なしなら100%、太陽光ありなら30〜50%
放電開始:7:00(昼間単価に切り替わるタイミング)
放電の開始時刻も、同じ考え方で決められます。
単価が高い時間に切り替わった瞬間から使い始めるのが、いちばん無駄がありません。
「夜間帯の頭で入れて、明ける前に終わらせる」。
この一言だけ覚えて帰ってもらえれば十分です。
何%まで充電する?夜間充電量の推奨値
次は量の話です。
ここは太陽光発電があるかどうかで、答えが正反対になります。
太陽光がない家は上限まで、ある家は控えめに
太陽光がない家では、翌日使う電気はすべて買った電気でまかなうことになります。
それなら、安い夜のうちに入るだけ入れておくのが単純に得です。
問題は太陽光がある家のほうですね。
夜のうちに満タンにしてしまうと、翌日の昼に発電した電気を入れる空きがありません。
行き場をなくした発電分は売電に回りますが、売電単価が買電単価を下回る家庭では、そのぶん取りこぼしになります。
だから太陽光がある家は、夜間充電を30〜50%程度に抑えて、残りは翌日の太陽光で埋める形が基本になります。
太陽光があるのに満充電にしていました…。
空けておく発想がなかったです。
電池を長持ちさせるなら、満充電のキープは避ける
もうひとつ、量を決めるときに効いてくるのが劣化の話です。
残量ゼロまで使い切る過放電と、常に100%を保つ過充電。
どちらも蓄電池にダメージを与え、寿命を縮める原因になります。
充電を始めるタイミングは、残量30〜50%あたりが理想みたいです。
毎晩きっちり100%まで入れる設定は、電気代の面では正解でも、電池にはちょっと厳しい運用なんですよね。
電気代と寿命は、どこかでトレードオフになります。
数円のために毎晩満タンにする必要はないと思ってます。
【メーカー差】夜間充電の上限は機種によって違う
ここが一番つまずきやすいところです。
「50%までしか貯まらない」「そもそも夜に充電されない」。
この手の症状は故障ではなく、モードと機種ごとの設定範囲で説明がつくケースがほとんどです。
販売店に連絡する前に、まず取扱説明書の設定範囲を見てほしいところです。
オムロン|モードによって夜間充電の可否が変わる
オムロンの蓄電システムでは、選んでいる運転モードで夜間の挙動が変わります。
経済モードと安心モードは、夜間に電力会社の電気を買って100%まで満充電します。
この2つのモードでは、100%以外の値に変更できません。
一方でグリーンモードは、初期設定のままだと夜間に買った電気で充電しません。
太陽光の余剰だけで充電するモードだからです。
グリーンモードのまま夜間充電したい場合は、「SOC上限」または「夜間充電量」の設定を変更します。
これで最大50%、または100%まで買った電気で充電できるようになります。
グリーンモード:初期設定では夜間に電力会社様の電気を買って充電はしません。
「SOC上限」または「夜間充電量」の設定を変更すると、電力会社様の電気で最大50%または100%まで充電することができます。
オムロンソーシアルソリューションズ よくあるご質問
そして肝心なのが、上限が機種によって違う点です。
| 蓄電池ユニットの形式 | 設定項目 | 設定できる範囲 |
|---|---|---|
| KP-BU164-2S / KP-BU98B-2S / KP-BU65B-2S など | SOC上限 | 0〜50% |
| KP-BU127-B / KP-BU63-B / KP-BU130C-A / KP-BU97C-A / KP-BU65C-A | SOC上限 | 0〜100% |
| KP55Sシリーズ / KP48S2シリーズ | 夜間充電量 | 夜間充電なし/10〜50% |
| フレキシブル蓄電システム KPAC-Bシリーズ | SOC上限 | 0〜100% |
| フレキシブル蓄電システム KPAC-Aシリーズ | 夜間充電量 | 夜間充電なし/10〜50% |
上の表のとおり、そもそも50%までしか設定できない機種があります。
設定画面に100%が出てこないのは、機器の仕様どおりということですね。
設定できないのは壊れているからだと思っていました…。
シャープ|「クリーンモード(夜間充電あり)」を選ぶ
シャープの蓄電池は、連系運転中の充放電に6種類の運転モードを持っています。
夜間充電に関係するのは、このうち3つです。
- 経済性モード(自動):夜間時間帯に充電し、それ以外の買電中に放電する
- 経済性モード(時刻指定):夜間帯に充電し、指定した時刻から放電を始める
- クリーンモード(夜間充電あり):太陽光の余剰か夜間帯に充電し、夜間帯以外の買電中に放電する
紛らわしいのが、同じクリーンモードでも「夜間充電なし」と「夜間充電あり」の2種類がある点です。
「夜間充電なし」を選んでいると、太陽光の余剰電力でしか充電されません。
夜に貯まらないと感じたら、まずここを疑ってみてください。
放電開始の時刻を自分で決めたいなら、経済性モード(時刻指定)が使えます。
詳しい動作はシャープのクラウドHEMSサポートページに一覧で載っています。
メーカーによって「グリーン」「クリーン」と名前が似ているのがややこしいところ。
呼び名ではなく、夜間充電のオン・オフで見分けてください。
みんなの声|夜間充電でつまずいた人の実例
実際にどんなところで詰まるのか。
Yahoo!知恵袋に投稿された相談を2件見てみます。
これはまさに、さきほどの機種別の設定範囲がそのまま出ている相談です。
SOC上限が0〜50%しか表示されないなら、その蓄電池ユニットの仕様が0〜50%だと考えるのが自然でしょう。
回答でも、まずメーカーと型番を確認して取扱説明書を見る流れが案内されていました。
こちらは、放電しているのに電気も買っている状態への戸惑いですね。
回答では、残量を高く保つ設定になっているのではないかという見立てが出ていました。
設定と実際の動きが噛み合っていない典型で、この切り分け方は後半でもう一度触れます。
同じところで悩んでいる人、けっこう多いんですね。
夜間充電の設定を変える手順
ここまでの内容を、実際の操作順に並べ直します。
順番を守ると、迷いにくくなります。
操作画面の名前はメーカーごとに違いますが、決める中身はどれも同じ3つです。
契約プランの夜間時間帯を確認する
検針票かマイページで、夜間単価が適用される時刻を調べます。
ここが全ての基準です。
運転モードを決める
夜間の電気で充電したいなら、オムロンなら経済モードかグリーンモード、シャープなら経済性モードかクリーンモード(夜間充電あり)を選びます。
充電量の上限を入力する
「SOC上限」「夜間充電量」といった項目に、太陽光なしなら上限値、太陽光ありなら30〜50%を入れます。
充電時間帯を入力する
開始は夜間帯の頭、終了は明ける30分前。
容量÷入力電力で出した所要時間が、この幅に収まるか確認します。
翌朝と1か月後に結果を見る
翌朝の残量が狙いどおりか、1か月後の請求が下がったかを確認します。
ズレていれば時間か量を微調整してください。
- 契約している料金プランの夜間時間帯を言えるか
- 自宅の蓄電池の容量(kWh)と型番を控えたか
- 変更前の設定値をメモか写真で残したか
- 太陽光発電の有無で充電量の方針を決めたか
3つめが地味に大事です。
元の値を控えておけば、うまくいかなかったときにすぐ戻せます。
設定変更のたびに写真を撮っておくと、施工店に相談するときの説明も早く済みます。
季節ごとに見直す|夏と冬で同じ設定のままにしない
一度決めたら終わり、にはならないのが夜間充電です。
日照時間も電気の使い方も、季節でまるごと入れ替わるからです。
冬は日が短く、暖房で消費も増えます。
太陽光の発電量が落ちるぶん、夜間に入れておく量を増やしたほうが朝までもちます。
冬に「朝いちで空になっている」なら、季節側の要因を疑ってみてください。
逆に夏は昼の発電量が伸びるので、夜間充電を控えめにしないと翌日の発電分が入りません。
見直しの頻度は、年に2〜3回が目安になります。
春先と秋口、それに真夏の入り口あたりで一度見ておくと、大きくズレたままにはなりにくいです。
衣替えと一緒に設定も替える、くらいの感覚でちょうどいいと思ってます。
うまくいかないときの戻し方と、原因の切り分け
まずは変更前の値に戻す
設定を変えたら電気代が上がった。
そんなときは、あれこれ足す前に元の値へ戻すのが先です。
チェックリストで控えた変更前の数値を、そのまま入力し直します。
控えを取っていない場合は、初期設定に戻すのが早いです。
オムロンなら経済モード、シャープなら経済性モード(自動)が、夜間充電を含む標準的な動きになります。
グリーンモードやクリーンモード(夜間充電なし)は、太陽光の余剰だけで充電する設定です。
太陽光がない家でこれを選ぶと、いつまでも貯まりません。
一度に3つ変えて全部戻せなくなる。
これがいちばん多い失敗パターンです。
設定を直しても下がらないときに疑うこと
時間も量も合っているのに効果が薄い。
その場合、原因は設定の外にあります。
まず疑いたいのが、昼間の使用量です。
夜間プランは昼の単価が高く設定されているので、日中に電気を使う量が多いと差し引きで損が出ます。
次に疑うのは、容量が生活に対して小さすぎるケースです。
テレビ220W、エアコン660W、冷蔵庫250Wを合わせると1時間で1,130Wになります。
これを8時間動かすと約9.04kWhで、9.8kWhの蓄電池なら一晩でほぼ空になる計算です。
この状態だと、どんな設定にしても昼過ぎには買電が始まります。
3つめは、放電と買電が同時に起きている状態です。
知恵袋の2件目がまさにこれで、残量を高く保つ設定になっていると、放電が抑えられて買電が増えます。
設定で解ける問題と、容量や機器の世代で決まってしまう問題。
ここを分けて考えると、無駄に設定をいじり続けずに済みます。
設定をどう変えても足りない、というパターンもあるんですね…。
夜間充電でどのくらい安くなる?金額で見る
数字で見ておきましょう。
東京電力エリアで、1日13kWh(月390kWh)を使う家庭のモデルケースです。
従量電灯B・40Aのままだと、月の電気代は15,019円になります。
この13kWhをすべて夜トク8の夜間単価に置き換えられたと仮定すると、月13,353円です。
差額は月1,666円、年にして約2.0万円、10年で約20万円になります。
10年で20万円と聞くと、設定を確かめる気になりますね。
ここに4kWの太陽光発電が加わると、話が変わります。
昼を太陽光でまかない、足りない2kWh分だけを夜間に買う前提で計算すると、月2,913円まで下がります。
年間では約14.5万円の削減で、夜間充電だけの場合の7倍以上です。
正直なところ、夜間充電単体の効果は「思ったより地味」だと感じる人が多いと思います。
それでも設定を直すだけで年2万円が動くなら、やらない理由はないですよね。
あくまでモデルケースの試算です。
実際の削減額は使用量と契約プランで変わります。
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蓄電池の夜間充電に関するよくある質問
まとめ
- 充電開始は夜間時間帯の頭、終了は明ける30分前に置く
- 所要時間は「蓄電容量 ÷ 入力電力」で逆算する(9.8kWh・1.5kWで約6.5時間)
- 充電量は太陽光なしで上限まで、太陽光ありなら30〜50%
- オムロンは「SOC上限」「夜間充電量」、シャープは運転モードの選択で決まる
- 設定を変えるときは1回1項目。変更前の値は必ず控えておく
夜間充電は、一度合わせてしまえば毎晩勝手に回り続けるものです。
今夜の帰宅後にモニターを開いて、開始時刻だけでも確かめてみてください。

